大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)911号 判決

証拠によれば、被控訴人は訴外武田信三郎に対し、昭和二七年五月一〇日金二〇万円を弁済期同年七月末日の約旨で貸与したことを認めることができる。

そこで控訴人が被控訴人に対し武田の右債務を保証したか否かにつき判断するのに、証拠を綜合すれば、(イ)控訴人は武田と数十年来の交友関係にあり相当親密な間柄であつて、また被控訴人とも遠縁に当る関係にあつたが、被控訴人と武田とは本件消費貸借契約の成立当時には全く交際がなかつた事実、(ロ)控訴人は昭和二七年五月初頃武田から金融の斡旋を依頼されたので被控訴人を同人に紹介し、その結果前記消費貸借が成立するに至つた事実及び、(ハ)被控訴人は平素金融などを行うものではなく、武田とはそれまで交際もなかつたのであるが、上記のように遠縁に当る控訴人から武田を紹介され、かつ控訴人の熱心な口添もあつた関係上ついに金融に応ずるに至つたものである事実をそれぞれ認定することができる。そして以上の各事実と証人の証言を総合すれば、右消費貸借契約の成立に当り、控訴人は被控訴人に対し武田の右消費貸借上の債務を保証する旨を確約した事実を認定するに十分である。なお、他の証拠によれば、武田が期限後も前記債務を支払わなかつたため、被控訴人から確実な担保を差し入れるよう要求されるや、控訴人は武田の依頼に応じて控訴人の孫名義の東京都世田谷区所在の宅地五八七坪に関する登記済権利証を右債務の担保の趣旨で被控訴人に預け入れ、かつその旨を記載した証書を取りかわした事実を認めることができるのであつて、このように本件貸借に関し控訴人が武田のために並々ならぬ協力を惜しまなかつた事実は、右金員借入の際控訴人が武田の債務を保証したとの前記認定を裏づける一事情と認めるに足りる。

尤も、右消費貸借契約につき作成された公正証書には、右保証契約に関しては何らの記載がないことが認められ、一般に保証契約を伴う消費貸借契約について特に公正証書を作成する以上、その保証契約に関してもこれを同証書中に明記するのが通例であることを思えば、右のように本件公正証書に保証に関する記載がないのは保証契約がなされなかつたからではないかとの疑を容れる余地もありそうであるが、当裁判所はこの点に関する被控訴本人の「被控訴人は公正証書の作成には立ち会わなかつたが、後日控訴人からこれを見せられた際、同証書中に控訴人の保証につき記載がないことを知り、控訴人を詰問したところ、控訴人は公正証書に記載がなくとも自分が保証したことはまちがいないと答えたのでそれ以上追及しなかつた」旨の供述を、真相に合致するものと認める。

そうであるとすれば、控訴人は、武田が前記債務を履行しない限り保証人としてこれを履行する責を免れないものといわなければならない。従つて控訴人に対し右保証債務の履行として金二〇万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める被控訴人の本訴請求は正当であり、これを認容した原判決は相当であるから、本件控訴は理由がないとしてこれを棄却した。

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